治療詳細:多血小板血漿(PRP)を用いた難治性皮膚潰瘍治療
2020年11月25日:
自家多血小板血漿(PRP)を用いた難治性皮膚潰瘍治療の開始のお知らせ
多血小板血漿治療とは
多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma: PRP)という血小板濃縮液を用いて治療を行います。皮膚潰瘍 の縮小や治癒の促進効果から、難治性皮膚潰瘍に対する新たな治療法として、2020 年4 月保険適応が認められました。 当院でも特定認定再生医療等委員会による審査を経て治療を開始しました。
多血小板血漿治療方法
- 採取した血液から遠心分離の操作を経て、血液成分を分離します。濃縮血小板を主成分とした 血漿であるPRP を抽出します。
- 抽出したPRP を活性化させて、患者様の創部に投与します。
- 当院での難治性潰瘍治療に対しては、患者様ご本人の血液を採取します(自家多血小板血漿)。
治療適応
- 保存的治療を行っても28 日以上治らない難治性皮膚潰瘍のある方はこのPRP 治療の適応とな っています。
- 除外項目*があり、診察時に確認させていただき、本人様の文書による同意が得られれば、治療 を進めていきます。
*除外項目
- 潰瘍部に悪性腫瘍を合併している方
- 潰瘍部に細菌感染を合併している方
- 重篤な貧血がある方(Hb 7g/dl)
- 白血病、再生不良性貧血、血小板減少症、血液凝固異常と診断された方
- 未成年者
- 治療に同意を得られない方
- 認知症など自己判断ができない方
難治性皮膚潰瘍へ期待される効果
- 血小板の働きは止血作用のほか、創傷治癒の開始に重要な役目を持つことがわかっています。
- 活性化された血小板からは、α-顆粒内のVEGF, TGF-β, EGF, IGF などの成長因子やサイトカイン が放出されます。これらの組織を再生させる様々な物質が標的細胞(線維芽細胞・内皮細胞・表 皮細胞など)に働きかけ、創傷治癒の促進、肉芽形成促進、上皮化促進を促すといわれています。